騒音・振動
賃貸借契約を結びアパートやマンションに住んでいる方にとって、騒音・振動トラブルはとても身近な問題だと言えます。
毎晩隣人が大きな音楽を流していたり、常に騒いでおり振動が生じている場合には、落ち着いて暮らすことすらできません。そのため、騒音・振動トラブルが生じたら適切に対応する必要があります。
なお、「騒音規制法」という法律が存在しますが、これの対象となる騒音とは工事現場において生じるものや、特定建設物の騒音を防止することを目的としているため、アパートの隣人間に適用される訳ではありません。
したがって、隣人間の騒音を厳格に取り締まる法律は未だ存在しないと言えます。地方自治体においては騒音を取り締まる条例も存在しますが、実際は形骸化しているのが現状と言えるでしょう。
騒音を厳格に取り締まる法律がない理由としては、地域社会で一体となって生活している以上、お互いに出す騒音に関してはある程度お互い我慢する必要があるからです。このような我慢することが可能な限界の事を「受任限度」と呼びます。
仮に、この受忍限度を著しく超えるような騒音や振動であれば、違法な事例として損害賠償の対象になります。
実際の裁判で損害賠償が認められるためには「騒音とそれにより患った病気との間に、社会的に見て相当な因果関係がある」、と判断される必要があります。
ただ、仮に病気との間に因果関係が認められたとしても、受忍限度を超えていなければ損害賠償が認められないケースがあるため注意が必要です。
騒音・振動問題の恐ろしいところは、いつでも自分が被害者、又は加害者になる恐れがあるという点です。何気なく自分が出している生活音が、知らない間に隣人の悩みの種になってしまっているケースも考えられなくありません。
そのため、仮に隣人との間でトラブルになってしまったが実は自分に非があった、というケースも想定されます。そのような事態を客観的に判断してもらうためにも、早めに大家さんや管理会社など中立的な立場を持つ人間に相談を行い、それでも折り合いがつかない時は弁護士に立ち会ってもらい話し合いを行う事が大切だと言えます。