借金の時効
貸主が借主に対して借金を返済するように請求する権利は、時の経過によって消滅する場合があります。これを消滅時効といいます。
具体的には、貸主が借金の存在を前提とした手続をとらないままに、かつ借主が借金の存在を自ら積極的に認める行動をとらないままに、借金の返済が行われない状態が継続すれば、借金は消滅します。
ただし、借主みずからが借金を負っていることを承認すれば、その時点で期間の計算は振り出しに戻ることになります(時効の更新、改正民法152条)。また、貸主が裁判を起こす、あるいは内容証明郵便によって借金の支払いを請求した場合にも、時効の完成が猶予されます(時効の完成猶予、改正民法153条)。
時効の期間については、2017年の民法改正(2020年4月1日施行)によって少し変更が加えられました。従来は債権の種類によって様々な期間を定めていたため、借金についても時効は5~10年とばらつきがあったものの、改正後は借金の種類に寄らずおおよそのケースにおいて5年と考えることができるようになりました(改正民法168条1項)。ただし、法律が施行される日より前に生じた債権については、現行の民法の適用がなされることになりますので、あくまでも改正の民法が施行された日以降に発生した債権について適用がなされます。
また、消滅時効は、それによって利益を受ける当事者が、消滅時効を主張したときのみに認められます(消滅時効の援用)。
借金の時効については、ときに迅速な対応が求められるケースも少なくありません。適切な手続きをとるためにも、お気軽に弁護士までご相談ください。