代襲相続と相続放棄の関係について
代襲相続とは、相続人が被相続人より早く死亡した場合や、相続人に欠格事由、廃除があった場合に、相続人の子が相続人に代わり相続することをいいます。
例えば、祖父が死亡する以前に父が死亡していたような場合、父の子が代襲相続します。
代襲相続人になる地位にある者について、代襲相続の原因がある場合には、さらにその子が代襲相続する、再代襲相続がおこります。(民法887条1項)
例えば、上の場合において、祖父が死亡する以前に父の子が死亡していた場合、さらにその子が代襲相続します。
相続放棄とは、相続の開始があったときに、相続の権利を放棄することをいいます。相続放棄によって、相続人たる地位は最初(被相続人の死亡時)からなかったことになります(民法939条)。
相続放棄は三か月以内に行う必要があります。そして、その起算は、被相続人が死亡した時から始まります。また、先順位の者の相続放棄によって相続人になるものの起算は、相続人となったものが、先順位の人が相続放棄を行ったことを知った時から始まります。
代襲相続と相続放棄はいずれも相続の場面において重要な概念です。そこで、以下、両概念の関係性が問題になる場面についてご説明します。
◆代襲相続を相続放棄することはできるか
例えば、祖父が死亡する以前に、祖父の相続人である父が死亡していた場合、父の子が代襲相続します。このとき、子は代襲相続を放棄することができるのかという点について、相続放棄はできるとされています。
代襲相続は、相続人の代わりに代襲人が相続するものであり、相続放棄について通常の相続と別異に考える必要はありません。承継する財産より債務のほうが多いような場合には、相続放棄を考えることになります。
◆相続放棄によって代襲相続がおこるか・代襲相続人が相続放棄をすると再代襲はおこるか
例えば、被相続人である祖父が死亡し、相続人である父が相続放棄をした場合に、相続人の子(祖父の孫)が代襲相続するかという点について、代襲相続しないとされています。
同様に、被相続人である祖父が死亡し、相続人である父がそれ以前に死亡していた場合、その子が代襲相続するところ、相続人の子が相続放棄をすることでさらに再代襲が起こるのかという点についても、再代襲はおこらないとされています。
これは、上述の通り、代襲相続の原因は相続人の死亡・欠格事由に該当・廃除があった場合(民法887条1項)に限られており、相続放棄はこれに含まれないためです。
◆相続放棄の後に再代襲相続はできるか
例えば、父が死亡し、子が相続放棄をしたのちに、祖父が死亡した場合、子は代襲相続するのかという点が問題となります。
相続放棄によって相続人たる地位を最初(被相続人の死亡時)から失うことからすると、祖父の死亡時には既に子は父の相続人たる地位を有しておらず、代襲相続はおこらないとも思えます。
しかし、代襲相続はおこるとされています。
これは、子はあくまで父との関係では相続人たる地位を失っているが、祖父との関係では相続人たる地位を失っていないからです。
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