弁護士法人しおかぜ しおかぜ法律事務所 > その他 > 交通事故における民事事件とは?刑事事件との違い

交通事故における民事事件とは?刑事事件との違い

交通事故が発生すると、被害者と加害者の間で損害賠償を求める民事事件と、加害者の刑事責任を問う刑事事件という2つの手続きが並行して進む可能性があります。

本記事では、それぞれの手続きの違いや、示談が刑事処分に与える影響について解説します。

交通事故における民事事件の基本

交通事故における民事事件の基本を解説します。

民事事件の目的と損害賠償請求

交通事故における民事事件は、被害者が被った損害を金銭的に補填することを目的としています。

民法第709条では、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負うと定められています。

この規定に基づき、被害者は加害者に対して治療費、休業損害、慰謝料などを請求できます。

損害賠償の対象には物的損害だけでなく、精神的苦痛に対する慰謝料も含まれます。

また、被害者が死亡した場合には、遺族が慰謝料や逸失利益を請求できる可能性があります。

示談交渉から訴訟までの流れ

民事手続きは、まず当事者間での示談交渉から始まります。

損害額や過失割合について合意に至れば示談書を作成して解決となります。

示談が成立しない場合には、調停や民事訴訟へ進むことになります。

実務では保険会社が交渉を担うことが多く、賠償額の算定基準が争点となります。

訴訟に進むと裁判所が最終的な判断を下しますが、時間や費用がかかるため、多くのケースでは示談での解決が図られます。

交通事故における刑事事件の概要

交通事故における刑事事件の概要を解説します。

刑事事件の目的と処罰対象

刑事事件は、交通事故を起こした加害者の刑事責任を追及し、適切な処罰を科すことを目的とします。

道路交通法では、事故発生時に運転者が負傷者の救護や危険防止措置を講じる義務が定められており、これに違反すると重い責任が問われます。

また、自動車運転により人を死傷させた場合には、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などが適用されることがあります。

道路交通法違反と刑事責任

事故発生時には、負傷者の救護や警察への通報といった義務が課せられています。

これらを怠ると、救護義務違反として5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

さらに、救護と報告の双方を怠った場合には、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となることがあります。

また、通常の過失による事故では過失運転致死傷罪が適用され、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

一方、飲酒運転や著しい速度違反など悪質な行為による場合には危険運転致死傷罪が適用され、より重い拘禁刑が科される可能性があります。

交通事故における民事事件と刑事事件の違い

民事事件と刑事事件の違いは以下のとおりです。

手続きの目的と当事者の違い

民事事件は被害者の損害回復を目的とし、被害者と加害者の間の紛争として扱われます。

被害者が原告となり、加害者に対して損害賠償を請求します。

一方、刑事事件は国家が加害者を処罰する手続きであり、検察官が起訴の判断を行います。

刑事事件では国家と被疑者という関係となり、被害者は手続きの主体ではありません。

民事事件は被害者が訴えを取り下げれば終了しますが、刑事事件は被害者の意思に関わらず進行する点が大きな違いです。

立証責任と判断基準の違い

民事事件では、被害者側が損害の発生や因果関係を証明する必要があり、証拠の優越により判断されます。

 一方、刑事事件では起訴事実の立証責任は検察官にあり、合理的な疑いを超える程度まで証明することが求められます。

そのため、検察官が十分に立証できない場合には、疑わしきは被告人の利益とする原則により無罪となります。

また、刑事事件では不起訴処分で終了するケースも多くありますが、その場合であっても、民事事件では被害者側の損害賠償請求が認められることがあります。

このように、刑事と民事では立証責任や判断基準が異なるため、結論が異なることもあります。

示談が刑事処分に与える影響

示談が刑事処分に与える影響として、まず示談の成立は重要な情状として考慮される点が挙げられます。

損害賠償が行われていることは被害回復の意思を示すものと評価されるだけでなく、被害者の宥恕を得ていると評価されることもあります。

被害者の宥恕は刑事事件において非常に重要な事情とされ、起訴・不起訴の判断や刑の重さに影響する可能性があります。

特に軽微な事故や初犯の場合には、不起訴となる可能性を高める要素の1つとなります。

もっとも、示談が成立したからといって必ず刑事責任が免除されるわけではありません。

死亡事故や悪質な事故では、示談後も起訴されるケースがあります。

検察官は事故の内容や被害の程度、加害者の反省の態度などを総合的に考慮して処分を決定します。

このように、示談は民事上の解決である一方で、刑事手続きにおいても重要な要素となることを理解しておく必要があります。

まとめ

交通事故における民事事件は被害者の損害回復を目的とし、示談や損害賠償請求によって解決が図られます。

一方、刑事事件は加害者の責任を問うものであり、道路交通法違反や各種犯罪に基づいて処罰が科されます。

両者は目的や手続きが異なるものの、示談の成立は刑事処分に影響を与える可能性があります。

交通事故に関する対応は専門的な知識を要するため、適切な解決を図るには弁護士への相談が重要です。

Office Overview

事務所概要

名称 弁護士法人しおかぜ しおかぜ法律事務所
代表社員 山口 海(やまぐち かい)
所在地 〒260-0013 千葉県千葉市中央区中央4-10-16 CI-22ビル3階(受付 302)
連絡先 TEL:043-307-8072
対応時間 平日10:00~18:00
定休日 土・日・祝
アクセス JR「千葉駅」より徒歩15分
京成「千葉中央駅」より徒歩10分
千葉モノレール「県庁前駅」より徒歩5分 事務所までのルートを見る