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個人間のお金の貸し借りにも時効はある?

お金の貸し借りをした場合、一定の条件を満たすことで時効が成立します。

これは金融機関などとの取引だけでなく、個人間の貸し借りであっても同様です。

この記事では、個人間のお金の貸し借りにおける時効について解説します。

個人間のお金の貸し借り

個人間のお金の貸し借りであっても金銭消費賃借契約は成立します。

たとえ口約束でも、すでに貸し借りが行われている場合には契約が成立し、効力を持ちます。

しかし返済や時効の根拠を示すためには、契約の証拠となる書面があると確実です。

借用書を作成していなかった場合でも、メールやLINEなどによってお金の貸し借りに同意する書面が残っている場合には証拠となります。

個人間の借金における時効

借金の時効は、お金を貸した人がお金を返してもらう権利を行使せず、一定期間経過することで成立します。

時効が成立すると、お金を貸した人はお金を返してもらう権利を失います。

同時に、お金を借りた人はお金を返す必要がなくなります。

 

2020年331日以前に発生した個人間の借金は、原則として10年で時効を迎えます。

2020年41日以降に発生した借金の時効成立までの期間は、5年もしくは10年です。

ただし、ただ時間が経過しただけでは時効は成立しません。

正式に時効を成立させるには、時効の援用手続きが必要です。

期間の考え方

時効成立までの期間を考える際、そのスタート地点は借金の返済期限を決めていたかどうかによって異なります。

借金の返済期限を定めていた場合、返済期限の翌日が、時効成立までの期間のスタート地点です。

「余裕ができたら返す」など、返済期限を定めていなかった場合には、お金を貸した日がスタート地点になります。

 

なお、202041日以降に発生した借金の場合、時効成立までの期間は以下のようになります。

 

  • 返済期限を定めていた場合:5
  • 定めていなかった場合:10

時効の成立について

時効成立の期間が経過していても、時効の援用手続きを行っていない場合には時効は成立しません。

また場合によっては、時効成立までの時間の流れがストップしたり、時効成立までの期間がリセットされたりすることもあります。

時効成立までの期間がリセットされる

お金を借りた人が借金の存在を認めると、その時点で時効までの期間がリセットされ、その日から5年もしくは10年経過するまで時効が成立しなくなります。

借金を認める行為とは主に次の通りです。

 

  • 少額でも借金の返済をする
  • 返済の約束をする
  • 返済期限の延長を申し出る

 

口約束でも成立しますが、メールや録音などの証拠があると確実です。

一時的に時効成立までの時間の進みがストップする

訴訟や支払督促など裁判上の手続きを行った場合、手続き開始から終了時点まで時間の進みが中断します。

さらに、お金を貸した側が勝訴し判決が確定すると、その時点で時効成立までの期間がリセットされます。

新たな時効成立までの期間は、判決が確定した時点から10年です。

お金を貸した側が訴えを取り下げた場合、取り下げから最長で6か月間は時効成立までの時間がストップしたままになります。

その後、再度訴えを起こした場合には、そこから判決が確定するまで再び時効の進みがストップします。

 

判決により差押命令がでると、強制執行が行われます。

強制執行とは、お金を借りた人の財産を差し押さえ、競売によって現金に換えるなどして、お金を貸した人に交付する手続きです。

強制執行の手続き中も時効は成立しません。

強制執行後も借金が残っている場合には、強制執行の手続き終了時点で、残った借金の時効がリセットされます。

時効の援用

借金の時効を成立させるには、時効の援用手続きが必要です。

時効の援用手続きとは、お金を借りた人がお金を貸した人に対し「時効成立のため返済義務はなく、今後も返済しない」とする旨を通知する手続きです。

証拠として残すため、内容証明郵便を利用して時効援用通知書を送付します。

 

時効援用通知書には、一般的に次のような情報を記載します。

 

  • 借金をした日
  • 借金の金額
  • これまでの支払い履歴
  • お金を貸した人と借金についてのやり取りをした記録

 

借りた人が借金を認める発言をしていたり返済したりしていると、その時点で時効までの期間がリセットされます。

最後の返済日や借金に関する最後のやり取りから、時効成立までの期間が経過していることを証明できます。

振込履歴や、やり取りした文面などを証拠として添付してください。

まとめ

この記事では個人間のお金の貸し借りに関する時効について解説しました。

たとえ個人間であっても貸し借りの契約は成立し、条件を満たすことで時効も成立します。

ただし裁判の手続きを取ったり、お金を借りた人が借金の存在を認めたりすると、時効までの期間がリセットされることもあります。

場合によっては、時効が成立しているかどうか判断が難しいこともあります。

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山口 海先生

山口 海Yamaguchi Kai / 千葉県弁護士会

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経歴
2009年
千葉県立成東高校卒業
2014年
明治大学法学部卒業
2017年
明治大学法科大学院修了
司法試験合格
2019年
弁護士登録
しおかぜ法律事務所設立

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資格者氏名 山口 海(やまぐち かい)
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