損害賠償請求権が生じるケースとは?請求できるものについて解説
日常生活や取引の中で、相手の行為によって損害を受けた場合、損害賠償請求ができる可能性があります。
しかし、どのようなケースで請求権が生じるのか、何を請求できるのかは法的な構成によって異なります。
この記事では、損害賠償請求権が生じるケースについて解説します。
損害賠償請求権が発生する2つの法的根拠
損害賠償請求権は、民法において主に債務不履行と不法行為という2つの法的構成により発生します。
債務不履行は民法第415条に規定されており、契約関係にある当事者間で、債務者が契約内容に従った履行をしなかった場合に生じます。
また、売買契約などにおいて目的物が契約内容に適合しない場合には、契約不適合として損害賠償請求が問題となります。
一方、不法行為は民法第709条に基づき、契約関係の有無にかかわらず、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した場合に成立します。
どちらの法的構成が適用されるかによって、請求できる損害の範囲や立証すべき事項が異なるため、事案に応じた判断が必要です。
不法行為による損害賠償請求
不法行為に基づく損害賠償請求は、債務不履行とは異なり、契約関係になくても請求が認められます。
具体的な成立要件について確認していきましょう。
不法行為が成立する要件
不法行為による損害賠償請求が認められるには、次の要件を満たす必要があります。
- 加害者に故意または過失があること
- 他人の権利または法律上保護される利益の侵害があること
- 損害が発生していること
- 行為と損害の間に因果関係があること
これらの要件を満たした場合に、被害者は損害賠償を請求できる可能性があります。
立証責任は原則として被害者側にあります。
請求できる財産的損害
不法行為による財産的損害には、修理費や物の補填費用などの積極損害と、得られるはずだった利益の喪失である消極損害があります。
交通事故で車両が破損した場合の修理費や、営業ができなくなったことによる逸失利益などが該当します。
積極損害は実際に支出した費用、消極損害は本来得られたはずの利益として算定されます。
人身被害に伴う損害と慰謝料
人身被害が生じた場合、治療費、入院費、通院交通費、休業損害、将来の収入減少である逸失利益などを請求できます。
さらに、精神的苦痛に対する慰謝料も請求可能です。
慰謝料は財産的損害とは別に、被害者が受けた精神的損害を金銭的に評価したものです。
人身被害の場合、これらの損害項目を適切に算定し、証拠とともに請求することが重要です。
債務不履行による損害賠償請求
債務不履行による損害賠償請求は、契約関係にある当事者間で発生する問題です。
契約内容に従った履行がなされなかった場合に請求できる可能性があります。
債務不履行の態様
債務不履行の態様には、履行遅滞、履行不能、不完全履行などがあります。
契約で定めた期限までに履行されない場合が履行遅滞、履行が不可能になった場合が履行不能、履行はされたものの内容が不完全な場合が不完全履行に該当するとされています。
いずれの態様においても、債務者の責めに帰することができない事由によるものでない限り、損害賠償請求が認められる可能性があります。
契約不適合責任における損害賠償
従来の瑕疵担保責任は契約不適合責任へと整理されました。
売買契約などで引き渡された目的物が種類、品質、数量において契約内容に適合しない場合、買主は追完請求、代金減額請求、契約解除とともに損害賠償請求ができます。
損害賠償請求は他の救済手段と併用できますが、代金減額請求は追完請求をしても応じない場合などに限定されます。
契約不適合による損害賠償では、契約が適切に履行されていれば生じなかった損害を請求できる可能性があります。
購入した住宅に欠陥があった場合の修補費用や、その間の仮住まい費用などが該当します。
損害賠償の範囲と予見可能性
損害賠償を請求する際、すべての損害が認められるわけではありません。
法律上、請求できる損害の範囲には一定の制限があります。
損害賠償の範囲は民法第416条により、通常損害と特別損害に区別されます。
通常損害とは、その債務不履行から通常生じると考えられる損害であり、原則として賠償の対象となります。
一方、特別損害は特別な事情から生じた損害であり、債務者がその事情を予見できた場合、または予見すべきであった場合に限り賠償責任が発生します。
予見可能性の判断は、事案ごとの具体的な状況により異なります。
また、損害賠償を請求する側には、損害の発生とその額について立証する責任があります。
不法行為の場合は被害者が、債務不履行の場合は債権者が、それぞれ証拠を示して損害を証明する必要があります。
適切な証拠の収集と保全が重要です。
まとめ
損害賠償請求権は、債務不履行と不法行為という2つの法的根拠により発生し、それぞれで請求できる損害の範囲や要件が異なります。
不法行為では、財産的損害や人身被害に伴う治療費、休業損害、逸失利益に加え、精神的苦痛に対する慰謝料も請求できます。
債務不履行では、契約が適切に履行されていれば生じなかった損害が対象となり、特に契約不適合責任では追完請求や代金減額請求との関係を理解することが重要です。
債務不履行の場合は通常損害と特別損害の区別や予見可能性の有無が重要となり、いずれの場合も適切な立証が求められます。
ご自身のケースでどのような請求が可能か判断に迷われた場合は、法律の専門家である弁護士にご相談ください。
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