有価証券を相続した場合の対応とは
親が所有していた株式などの有価証券を相続する場合、適切な評価と名義変更の手続きが必要です。
上場株式と非上場株式では評価方法や手続きが大きく異なります。
今回は、有価証券を相続した際の評価基準や遺産分割後の名義変更手続きについて解説していきます。
有価証券も相続財産に含まれる
民法第896条により、相続人は相続開始のときから被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。
被相続人が保有していた株式などの有価証券も相続財産として相続人に承継されます。
有価証券には上場株式や非上場株式のほか、投資信託、債券などがあり、これらはすべて相続の対象です。
相続開始時点では、有価証券は相続人全員の共有状態となります。
そのため、遺産分割協議を経て各相続人への取得分を確定させる必要があります。
上場株式の評価基準
相続税の計算において、上場株式は財産評価基本通達169条に基づいて評価します。
評価額は次の4つの価額のうち、最も低い金額となります。
- 相続開始日の最終価格
- 相続開始月の毎日の最終価格の平均額
- 相続開始月の前月の毎日の最終価格の平均額
- 相続開始月の前々月の毎日の最終価格の平均額
上場株式は変動リスクが考慮されるため、複数の価額から最も低いものを選択できる、納税者に有利な評価方法となっています。
上場株式の評価額は証券会社の取引明細や新聞の株価欄などで確認できます。
非上場株式の評価基準
非上場株式は財産評価基本通達178条から189-7条に基づいて評価しますが、会社規模と株主の立場により評価方式が異なります。
原則的評価方式
同族株主等が取得した株式は、原則的評価方式により評価します。
会社規模により次のように評価方法が分かれます。
- 大会社は類似業種比準方式
- 中会社は類似業種比準方式と純資産価額方式の併用
- 小会社は純資産価額方式
会社規模は従業員数や総資産価額、取引金額などにより判定されます。
特例的評価方式
同族株主以外の株主等が取得した株式は、配当還元方式により評価します。
配当還元方式は、その株式の配当金額を基に評価額を算定する方法です。
この方式は原則的評価方式よりも評価額が低くなる傾向があり、少数株主に配慮した評価方法といえます。
遺産分割協議書の作成
民法第907条により、共同相続人は遺産の分割について協議で定めることができます。
有価証券をどの相続人が取得するかは、遺産分割協議で決定します。
協議が成立したら、遺産分割協議書を作成することが一般的です。
遺産分割協議書には相続人全員が実印を押印します。
この協議書は名義変更手続きにおいて必須の書類となるため、正確に作成することが重要です。
上場株式の名義変更手続き
遺産分割協議後は、速やかに上場株式の名義変更手続きを行う必要があります。
手続きの流れ
まず、被相続人が取引していた証券会社に連絡し、相続が発生したことを伝えます。
証券会社から相続手続きに関する案内と必要書類の説明を受けることができます。
必要書類を提出すると、証券会社を通じて株式会社証券保管振替機構に通知され、名義変更が行われます。
必要書類
上場株式の名義変更には次の書類が必要となります。
- 証券会社所定の相続手続依頼書
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 株式を取得する相続人の取引口座
証券会社によって必要書類が異なる場合があるため、事前に確認してください。
手続きには通常、数週間から1か月程度の期間がかかります。
非上場株式の名義変更手続き
非上場株式の名義変更は、会社法第133条および第134条に基づいて行います。
手続きの流れ
株式を発行している会社に直接連絡し、相続による株式取得の旨を伝えます。
会社に対して株主名簿の書換えを請求することで、名義変更が行われます。
上場株式と異なり、発行会社ごとに手続き方法や必要書類が異なる可能性があるため、事前に確認が必要です。
必要書類
非上場株式の名義変更には、基本的に次の書類が必要です。
- 株主名簿書換請求書
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 株券
株券不発行会社の場合には株券の提出は不要です。
譲渡制限株式の場合
多くの非上場株式には譲渡制限が付されていますが、相続による取得は譲渡に該当しないとされています。
そのため、会社の承認を得る必要はないとされています。
ただし、会社法第174条により、会社側から相続人に対して株式の売渡請求を行うことができる場合があります。
この点についても、事前に会社に確認しておくと安心です。
まとめ
有価証券の相続では、適切な評価と名義変更手続きが重要です。
上場株式と非上場株式では評価方法も手続きも大きく異なるため、それぞれに応じた対応が求められます。
相続税申告は相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
評価方法や手続きに不安がある場合、期限に遅れないためにも早めに弁護士に相談することを検討してください。
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